いまの絞り込み(金額)
The Pivot That Breaks
角度を変えたい、だから関数とピボットが増えていく
毎月の売上表を、いろいろな角度で眺めたくなることがあります。取引先別の大小、月ごとの動き、継続かスポットかという区分ごとの内訳。表計算ソフトはそれによく応えてくれて、関数を一段足し、ピボットテーブルを組み、マクロを一つ走らせれば、見たい集計はひととおり出せます。最初は、ちゃんと動きます。
ただ、その集計は思っているより脆い、という性質を持っています。誰かがセルを一つ書き換える。行が一行差し込まれて参照が静かにずれる。別の人のExcelで開くとマクロが止まる。共有フォルダの中でコピーが分裂して、どれが最新なのか分からなくなる。どれも特別な操作ではないのに、さっきまで出ていた同じ集計画面が、もう同じようには出せなくなります。
集計はできる。ただ、崩れやすい。
厄介なのは、壊れた瞬間が見えにくいことです。数式はエラーを出さずにそれらしい数字を返し続け、合計だけが少しずつ合わなくなる。誰が触ったかも、いつずれたかも、後からは追いきれません。角度を増やすほど、その崩れやすさは静かに積み上がっていきます。
A View You Design
“見る”だけなら、アプリにする手前で足りる
ここで一度、目的を分けて考えてみると見通しがよくなります。角度を変えて見るだけなのか、それとも数字そのものを書き換えるのか。書き換えを安全に統制する仕組み、つまりアプリが要るのは後者のときです。見るだけなら、そこまで建てなくても届きます。
要るのは、元のExcelを正本としてそのまま残したうえで、「見るための一枚」をHTMLで自由に設計することです。ただの表の写しではありません。グラフとボタンを置いて、区分で絞り、期間で切り、軸を入れ替えながら角度を変えて読めるダッシュボードにできます。
同じ集計はExcel・マクロ・ピボットでも作れる。ただ、関数や参照は触れば崩れ、別の人の環境では同じ画面を再現できない。
HTMLの一枚は、その逆の性質を持っています。見た目も並びも色も思いどおりに設計でき、しかも一枚で完結しているので、誰の端末で開いても同じに動く。次の実演が、その「同じに動く一枚」をそのまま手元に置いたものです。
Move the Numbers
ボタンで角度を変えると、グラフがその場で動く
架空サンプル「取引先別売上(2026年・1〜6月)」を題材にした、見るためのダッシュボードです。上の帯で区分・期間・見方を選ぶと、棒グラフも、構成比の円も、月別の推移も、要約の数字も、同じ絞り込みでいっせいに動きます。一つの操作に画面ぜんぶが連動するようすが、そのまま実演に表れています。
区分別の構成比
取引先別の売上
取引先別の売上(万円・架空サンプル)
取引先別の月別推移
社ごとの6か月の推移(万円)
同じ集計はExcel・マクロ・ピボットでも作れます。ただ、関数や参照は触れば崩れ、別の人の環境では同じ画面を再現できない。こちらは一枚のHTMLで、誰の端末で開いても同じに動きます。数値・社名はすべて架空のサンプルです。
Design It, Edit It Safely
自由に設計できて、崩れず、必要なら書き換えまで
見るための一枚をHTMLにすると、まず見せ方を自分の手に取り戻せます。Excelの体裁に縛られず、見せたい角度・色・並びを思いどおりに置ける。継続を温かい色、スポットを控えめな色、と意味で色を決めれば、ひと目で区分が読み取れる一枚になります。
そして崩れません。関数の連鎖や他シートへの参照を持たず、一枚で完結しているからです。誰がどの端末で開いても、さっき見た画面がそのまま出てくる。共有でコピーが分かれても、中身は同じに振る舞います。
見るだけに留まらない道もあります。数字を書き換えたいときは、前の記事『つくり直さず、直す』で触れた形——出どころを一つ直すと、散らばった全箇所がいっせいに揃う——にしておけば、触って壊す事故なく直せます。「書き換えを統制するシステム(アプリ)か、生のExcelか」という二択ではなく、自由に設計した一枚のHTMLという中間が、その間に静かに置けます。
In Closing
いきなりアプリにする前に、まず見る形を設計する
角度を変えたいだけなら、書き換えを統制する仕組みを建てる前にできることがあります。まず「見るための一枚」をHTMLで。角度はボタンで切り替え、誰の端末でも崩れずに同じに動き、必要になったら書き換えまで安全に。
表計算の崩れやすさから一歩引いて、見る形を自分で設計してみる。そういう選択肢が手前にある、ということだけ、ここに静かに残しておきます。