構造の人 LabLab

Work in Structure · Field Note 17

「あの案件、どうなった?」— 止まっている仕事を見つける

進捗が担当者の頭の中や口頭のやりとりにしかないと、止まっている案件ほど静かに後回しになります。案件を「今どの段階か」と「そこに何日いるか」で見ると、忘れられていた一件が浮かびます。

構造の人 Lab / 読了の目安 6分 / 触れる実演つき

Where it goes quiet

「あの件、どうなってる?」と聞かないと分からない

受注や問い合わせ、制作、修理。案件型の仕事は、いくつもの依頼が同時に進んでいきます。その一件いちけんの現在地は、たいてい担当者の頭の中か、口頭のやりとりの中にあります。聞けば答えは返ってきます。けれど、聞かないと分からない状態のままだと、誰も聞かなかった案件は見えないままになります。

忙しいときほど、その差が効いてきます。先方から催促が来る案件は、自然と手が動きます。逆に、催促されない案件は、止まっていても気づかれません。止まっていることそのものが静かなので、動いていないという事実が表に出てこないのです。

気づいたときには、ずいぶん前から同じところで止まっていた。案件型の仕事をしていると、こうした取りこぼしが一番こわい、というのは多くの現場で共通する感覚だと思います。

What the delay shows

危ないのは、遅れている案件ではない

いくつかの案件が一列に進んでいく中で、一つだけ動かずにその場に留まり、まわりに薄く埃が積もっている様子
止まっている案件は、声を上げません。

案件の危なさは、二つを重ねると見えてきます。一つは「今どの段階か」。問い合わせなのか、見積を出したところなのか、進行中なのか。もう一つは「そこに何日いるか」。同じ段階に長く留まっている案件ほど、どこかで詰まっているサインです。

遅れている案件は、たいてい誰かが気にかけています。締切が迫れば手が動くからです。むしろ見落とされるのは、締切も催促もないまま、ただ同じ段階に置かれ続けている案件のほうです。動きが止まっていても、誰も困っていないように見えるので、後回しの列のいちばん奥に沈んでいきます。

要するに、危ないのは遅れている案件ではなく、誰も動かしていない案件です。そしてそれは、滞留日数にそのまま表れます。

ステータスと滞留日数を重ねると、静かに止まっている案件が浮かんできます。次のボードで、今日を少し先に進めながら確かめられます。

See the stall

触れる案件の滞留ボード

架空の案件をいくつか並べました。各案件には、今どの段階かと、最後に動かした日が入っています。今日を先に進めると、動いていない案件の滞留日数が伸びていきます。見たい段階を切り替えながら、どの一件が止まっているかを確かめられます。

案件の滞留ボード

どのステータスを見るか

右に動かすほど、動かしていない案件の滞留日数が伸びます。

0 件が、14日以上 動いていません

手で触れる版は、ブラウザのスクリプトが動くときに表示されます。下は今日を進める前の一覧です。

ステータスごとの件数と、最長の滞留日数(今日を進める前)
ステータス件数最長の滞留日数
問い合わせ1件2日
見積2件17日
進行中2件22日
完了1件

色は、段階の名前ではなく、止まり具合に載せています。長く動いていない案件は赤、そろそろの案件は橙、動いている案件と完了した案件は落ち着いた色です。記号と一言も添えているので、色が見えにくくても読めます。

What surfaces

一覧では、全部が同じ重さに見える

案件をただ「一覧」で見ているうちは、どれも同じ重さに並びます。新しい依頼も、三週間止まっている案件も、横一列だと区別がつきません。だから、声の大きい案件から手をつけて、静かな案件が後ろに残ります。

そこに「どの段階に何日いるか」を当てると、並びが変わります。浮かんでくるのは、急かしてくる案件ではなく、誰にも急かされないまま止まっていた案件のほうです。滞留日数という一つの軸が、見えていなかった一件を表に押し出してくれます。

進捗を誰かの頭の中から、案件の現在地そのものに移す。それだけで、止まっている仕事は静かなままでも見つけられます。