構造の人 LabLab

Anatomy · Field Note 22

AIの中身を、開けてみる

AIに何かを頼むとき、画面に打ち込む言葉のほかに、AIが自分自身へ向けて受け取っている指示があります。普段は表に出ません。その全文を抜き出して公開している場所をもとに、中身を部品ごとに開けられるようにしました。一番長い指示が、うまくコードを書くための指示ではなかった——そこから始めます。

構造の人 Lab / 読了の目安 6分 / 触れる解剖つき

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The hidden half

見えているのは、半分だけ

「このファイルを直して」と頼むと、その言葉のほかに、開発元が裏で渡している指示が一緒に働きます。どう振る舞うか、どの道具をどう使うか、どこで手を止めるか。これはシステムプロンプトと呼ばれ、画面には出てきません。

Piebald-AI というチームが、Claude Code の配布ファイルを機械的に解析して、その裏の指示を全文書き出し、版が変わるたび数分で追いかけて公開しています。その公開データをもとに中身を開くと、どんな部品でできているかを手元で確かめられます。

Open it up

1個に見えて、寄せ集め

「Claude Code」はひとつのアシスタントに見えます。中身は、役割で分かれた指示の寄せ集めです。下の箱を開けると、5つの種類に分かれます。気になる部品を押すと、それが裏で何を任されているかと、分量の目安が出ます。

Claude Code

ひとつのアシスタント、に見えています。

部品を押すと、その中身がここに出ます。

Where the words go

一番長いのは、安全のための指示

振る舞いを決める指示の中で、単体で一番長いのは「自律的に動くときの安全監視」でした。第1部が7,400、第2部が8,784トークン。うまく計画する指示や、調べる指示、道具ひとつの説明と比べると、桁が違います。

道具「書き込み」の説明129
汎用エージェント285
コードレビュー(低めモード)345
Explore(調査)575
Plan(計画)715
安全監視(第1部)7,400
安全監視(第2部)8,784

単位はトークン(言葉の分量の目安)。数値は v2.1.185(2026年6月20日)時点・元データの記載値です。これより長いものに参照資料(各言語のAPIの使い方など・最大で9,000超)がありますが、振る舞いの指示ではないので別に数えています。

賢く動くための指示より、勝手に危ないことをしないための指示に、最も多くの言葉が割かれています。分量の置き場所は、優先順位の置き場所でもあります。

One button, nine parts

1コマンドが、実は9部構成

「コードをレビューして」という1つの指示も、開けると9個の連携した指示でできていました。探す角度を決め、力の入れ方を段階で切り替え、二通りのやり方で検証し、結果を書き出して、直すところまで。

コードレビュー指示の内訳(9部)

01探す角度(どこを疑うか)
02低めモード
03中くらいモード
04高めモード
05最大モード
063つの状態で検証
07思い出し重視で再検証
08指摘を GitHub に投稿
09修正を適用

ひとつのボタンの裏に、分けられた工程が並んでいます。大きさより、この分かれ方そのものが中身です。

A moving target

数字は、すぐ古くなる

ここに出した数は、v2.1.185(2026年6月20日)時点のひとつのスナップショットです。元の場所は新しい版が出るたび数分で更新され、半年で350個から515個へ増えました。だから見るべきは数そのものではなく、増え方——どこに手間が足されていくか、です。

Source

中身そのものを見たいとき

部品の全文(515個の指示)は、解析して公開しているリポジトリで読めます。同じ中身を部品ごとに開けて、つかみやすい形に置き直しただけで、新しい事実を足したわけではありません。自分の Claude Code の指示を書き換えられる tweakcc という姉妹ツールも、そこから辿れます。

In closing

規模より、構造

515個という数は、それだけでは「たくさんある」で終わります。開けて並べ替えると、別のことが見えてきます——1個に見えて寄せ集めで、賢さより安全に一番の言葉が割かれ、ひとつのボタンが9工程に分かれている。大きさではなく、どう組み立てられているか。そこにいつも、正体が出ます。